★全国のコミュニティビジネス先進事例★

地域商業と文化を元気に・・・くにたち富士見台人間環境キーステーション　

　「くにたち富士見台人間環境キーステーション（略称ＫＦ）」は、ＪＲ南武線谷保駅北口地域での、３つの商店会（３商連）と一橋大学、国立市、そして市民の、地域の商業や文化の活性化を目的とする産（商）官学民の協同プロジェクトです。地域コミュニティを創りだす商店街を、さらに人と人の結びつく場所にしていこうと考えています。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　画像提供：くにたち富士見台人間環境キーステーション

　国立市富士見台でも商店街は停滞し、空き店舗も目立つようになっていた。そこで国立市産業振興課の声かけで、地元の一橋大学というリソース（資源）を活かし、商店会（谷保北口商店会、ダイヤ街、むっさ２１）、商工会が参加して富士見台１・２丁目（谷保駅北口地区）の商店街の活性化を考えていこうと、「国立プロジェクト研究会」が2001年に始まった。

　一橋大学の学内研究会もスタートし、教授と学生を中心として「人間環境キーステーション構想」が作成されたのが2002年。それをもとに一橋大学で授業「まちづくり」が開講した。

　「国立プロジェクト研究会」では主に空き店舗活用法について話し合われ、学生の様々な提案と商店主との議論をもとに、コミュニティー・カフェやカルチャー教室を開くことが決定した。それに応じる形で学生が自分たちを組織化、サークル「Ｐｒｏ−Ｋ」（Project in Kuntachi）が2003年１月に発足する。

　３月には、商店会、国立市、商工会、教授、「Pro-K」とエコマネー「KUNY」を運営する学生、それに数名の市民が構成メンバーとなり「くにたち富士見台人間環境キーステーション」が設立された。

　2003年６月には「エコスポット」の稼動が開始、その後、事務局「KFセンター」のオープン、「まちかど教室」、「cafe ここたの」のスタート、さらにエコマネー「KUNY」の第1次実験を行った。2004年には多目的ホール「KFまちかどホール」がオープンし、協力事業である「くにたちNPO活動支援室」も入居し、連続する４つの空き店舗が木の風合いを活かしたきれいなお店に生まれ変わった。

　そのほかにも様々なイベントやコンサートの主催、地域行事への参加を続けている。こうした活動が評価され、「Pro-K」は一橋大学『学長表彰』を受賞し、一橋大学の「キーステーションとまちづくりの授業」は文科省から『特色ある大学教育プログラム』に選定された。

むっさ２１内にある４つの空店舗を使い、学生（「Ｐｒｏ−Ｋ」）が中心にとなって多彩な活動を展開

Ｃａｆｅここたの

「ここに来ると楽しい」から名付けられたカフェ。「光と緑」をテーマにした店内はカラマツを使い優しい雰囲気、メニューは有機栽培コーヒーや信州朝日村のりんごジュース、日替わりランチなど。スローな時間を過ごせる場所として住民の人気を得ている。

ＫＦまちかどホール

空店舗を利用した有料の多目的ホール。4枚の可動式パネルで自由にレイアウトが可能で、コンサートや多様な講座、ギャラリー、貸しスペースとして利用でき、市民の文化活動の拠点となっている。

まちかど教室

気軽に参加できる地域のカルチャー教室。一橋大学の教授やラーメン屋のおやじさん、お祭りの担い手などいろんな人が講師になるＫＦの目玉プロジェクト。

エコスポット

商店街2ヵ所に設置された空缶・ペットボトルの回収機。リサイクルを推進すると同時に、商店街の集客にも一役買っている。ポイントがたまると商店街で商品券として使える仕組み。

エコマネーＫＵＮＹ

地域通貨の一種であるボランティア交換通貨「エコマネー」を実験中。各種のイベントをからませて交流の輪を広げ、地域を活性化させようと頑張っている。

その他

国立市富士見台・谷保地域の地域情報誌「やほナビ」発行。商店街のお得な情報なども掲載している。

一橋大の学生が、商店街の商品を自宅まで届ける「お買い物サポーターズ」やパソコン教室を行っているほか、ワープロの代打ちも安価で請け負っている。