★全国のコミュニティビジネス先進事例★

より豊かで、元気なまちづくりのお手伝い・・・ （有）セルフィッシュネス

　多摩ニュータウンで生まれたセルフィッシュネスは、企業ニーズ優先のビジネス構造からコミュニティビジネスが育つ時代への先駈けとなる会社です。地域のマーケティングやイベントの企画会社として設立され、地域密着型の情報を受発信してきましたが、コミュニティづくりのサポートという新しいビジネスを展開しています。

　賑わいをみせる多摩ニュータウン南大沢に、女性だけの有限会社セルフィッシュネスが設立されたのは1995年。多摩ニュータウンを中心に、地域に密着したネットワークやビジネスを生活者の視点から企画し運営するためのオフイスとして発足した。

　代表の布川さんは、ホテル勤務、アパレル会社経営、ブライダルコーディネーターのキャリアの持ち主であったが、1995年から、東京都が実施した西部地区センター活性化事業の事務局をになった。バブル以後低迷していた街の活性化のため、南大沢地区に人が集まる多くの仕掛けをした。その過程で、集まった暮らし手と自分達の住む街のことをもっと知ろうと地域の暮らしアンケート調査を行った。そこで出た「困ったときに行く所が無い」とい住民の声で、ニュータウンにはまだコミュニティが育っていないことを痛切に感じた。

　1998年、セルフィッシュネスのメイン事業「多摩ニュータウン暮らしの情報センター」運営が始まる。様々な生活情報の受・発信基地として、暮らしの情報センターは「まちのよろず相談所」として地域で信頼され、また人と人をつなぐ機能を果たしている。

多摩ニュータウン暮らしの情報センター

南大沢駅前のビルにある暮らしの情報センターには各種イベント案内や生活情報が掲示されているが、センターの真価は「まちの交番」と呼ばれていることにある。交替で常駐しているスタッフは、訪ねてくる地域の人や通行人のよろず相談係りである。「信用のできる不動産屋を教えて」「○○に行きたいんだけれど、道がわからない」など質問は多種多様。

暮らしの情報センターには様々な技能をもった人の「マッチングリスト」ファイルが置いてある。スタッフは希望者にマッチングリスト登録者を紹介するお仲人役を担うが、具体的な交渉は当事者同士に任せている。また、ここは市民活動やサークル活動の場として提供され、月曜から金曜日まで毎日無料で地域活動に開放されている。

1999年からはインターネット版「多摩ニュータウン暮らしの情報センター」が運営されている。ネットには街のイベント・商店街・街のホット情報など生活情報が盛り沢山。登録者はログインして活発に情報交換を行い、そこから新しいネットワークが広がっていく。

コミュニティフォーラム

大規模マンションが建設されたとき、入居者のコミュニティづくりをサポートするのもセルフィッシュネスの業務。6年前に300世帯の新築マンションで、販売段階から入居者向けの地域情報誌の発行やサークル活動の立ち上げを手伝った。以来、新しいまちでの暮らしのスタートをサポートするコミュニティフォーラムの取り組みは順調に増え、現在関東近県で数件のコミュニティ支援事業が進行中である。

マンションプロジェクトの規模と企画内容により事業形態は異なるが、会社の直轄または業務委託方式や契約社員として多くのスタッフが大規模マンションでのコミュニティづくりに係わっている。我孫子市の シティア・プロジェクトもその1つ。ここでもマッチングのノウハウが、マンション住民同士と、あるいは内部と地域のつながりに生かされている。

女性だけの会社になったのは、集まったのがたまたま女性だけだったから。「子育てをする女性には、人を育てるというこの仕事は適任ですね。人は好きなことには参加する。リーダーになる人が出てこなくても、自分がやって楽しい等身大の活動を住人が続けていくことでコミュニティができます。そのきっかけをつくり、サポートするのがまちづくりコーディネーターの仕事です」と布川さんは話す。新築マンションのコミュニティフォーラムは入居開始から 1〜2年のサポート後、住民（居住者）の自主活動に移行する。その後は地域の一員として発展していくのを見守っている。　

●概 要